のぶの勉強部屋

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薬学部 塾講師歴3年 勉強に有用な情報を惜しまず発信します。

【簡単】自律神経系の薬をシンプルなイラストで覚える

この記事では自律神経系について図を用いて解説をしています。

 記事を読んで受容体と薬剤の組み合わせを思い出してください。

 

 

参考書籍

薬がみえるvol.1

Essential細胞生物学(原書第4版)

 

 

自律神経系とは

自律神経系は内臓や血管など全身に分布をしています。ヒトが生きていくうえで大切な、呼吸・吸収・消化・循環・分泌はこの自律神経系が調節しているのです。

 

体の調子が悪いとき、自律神経系の乱れが原因になることが多々ありますが、この支配領域を見ると納得できます。

 

自律神経系は自立しているおり、不随意であるとも言われます。

 

不随意とは自分の意志によって思い通りに動かすことができないことです。

 

例えば、自分でたくさん栄養を吸収したくても思い通りにはなりませんし、頭を活性化させるために血液を早く循環させたくても自分の意志ではできません

 

不随意であることは人にとってデメリット?

 

逆に言うと、体の状態に反応して自律神経は勝手に働き出します。これはヒトが皆、古代に狩り暮らしをしていたからと言われています。

 

現代人はスーパーでお肉を買って、家に帰ってご飯を作り、睡眠を取るという生活を繰り返しています。しかし、昔はご飯は自分で取ったものしか食べることはできず、常に肉食動物から身を守る必要もありました。

 

そんな危険と隣り合わせの状態になったとき、よし心臓の鼓動を高めようとか、血圧を上げておこうとか考えていたら、すぐに命を落としてしまいます。反射で自然に活性化されないと困るわけです。

 

では、生活に恵まれた私たちの生活では、この自律神経を感じることはできないのでしょうか?

 

答えはあなたも感じることができます!

 

皆さんは運動会や部活の試合の本番で、心臓のドキドキを味わったことがあると思います。手に汗を握り、肺いっぱいに息を吸うあの感じは、狩りをしていたときの感覚そのものです。

 

勝負をするときに緊張することは嫌いだという人は多いですが、脳が本気で勝ちにいこうとしている証拠でもあります。そう考えると自信が生まれませんか?

 

自律神経が勝手に働くのは遥か昔から引き継がれた遺伝子の一部であるからだと理解していただければ、このパートは十分だと思います。

 

 臓器ごとの受容体、作用、薬剤まとめ

交感神経と副交感神経は拮抗した作用をもち、二重に支配しています。片方を覚えれば、もう片方は真逆の作用なので簡単です。今回はテストでも頻出する臓器4つを紹介します。

 

命を守るためには酸素を全身の筋肉にたくさん届けるために、血液をできるだけ早く循環させる必要があります。

 

血管・心臓・肺はこの戦略のために変化を起こします。

α、β→アドレナリン M→ムスカリン

血管

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交感神経(血管)

血液をすばやく循環させるには血管を収縮させる必要があります。理解が難しいかもしれないので、日常の出来事に置き換えて想像してください。

 

今あなたはホースを使って花に水をあげています。最初は順調でしたが、あることに気が付きます。それは、蛇口いっぱいに捻っても水が遠くまで届かないということです。

さて、どうすれば水を遠くまで飛ばすことが可能になるでしょうか?

答えは「ホースの先をつまんで水の出口を細くする」です。

 

同じ量の水(血液)が蛇口(心臓)から同じ速度で流れてきたとき、細いホース(収縮血管)から出る方が速い速度で出ていく仕組みは分かりましたか?

 

副交感神経(血管)

血管は弛緩し、血圧は下がります。こちらは水の通り道が太くなったホースを想像してください。

 

薬剤(血管)

α1刺激…血圧が低い患者さんは血液の循環が悪いので、全身に十分な栄養素や酸素が行き渡りません。ふらついたり、めまいを感じるようになります。

低血圧、ショック

 

そんな方は、血圧を上げる必要があります。

フェニレフリン、ミドドリン

 

 α1遮断…血圧が高い患者さんは心臓や血管に負担がかかり過ぎています。勢いの強い水を流し続けると、水路が削れるのと同じです。また、心臓への負担は心肥大にもつながります。

→高血圧

 

そんな方は、血圧を下げる必要があります。

→ブナゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン

 

副作用によって生じることはありますが、副交感神経へのアプローチを目指す薬剤はありません。

心臓

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心臓の理解は簡単です。心拍数上昇(心臓が早く動く)と、心収縮力上昇(心臓がたくさん血液を絞り出す)によって心拍出量(結局どれだけの血を送り出しているのか)を上昇させます。

薬剤(心臓)

β1刺激、M2遮断心臓が疲れてしまうと、心不全に陥ります。心臓が止まると人は死んでしまうように、大切な臓器であることは間違いないです。心臓が正常に働かなくなることで多くの症状が確認されます。

→急性心不全、慢性心不全

 

そんな方は、心臓の動きを活性化させる必要があります。

→β1刺激がドブタミン、デノパミン M2遮断がアトロピン

 

β1遮断…心臓が頑張り過ぎていたら、休ませてあげる必要があります。テスト勉強のやる気をいつまでも持続させることができないのと一緒です。もし続けたら体調を崩してしまいそうですよね?

→高血圧、不整脈

 

そんな皆勤賞で頑張っている心臓には、休暇を与えましょう。

→アテノロール、ビソプロロール

 

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このイラストが一番ひどいですが、どうか勘弁してください。酸素が体内に多く取り込まれるには、肺にできる限り多くの空気を吸い込む必要があります。

 

どうすればいいのかというと、肺は気管支という空気の通り道を張り巡らしています。道路工事をして車線数を増やすとたくさんの車が通れるように、気管支も広げてあげれば、それだけ多くの空気が入ってくるという話です。

 

薬剤(肺)

β2刺激…空気が上手く取り込めない人は呼吸が辛く感じます。呼吸に意識を持っていかれると、日常生活も穏やかではありません。また、苦しくて寝れないこともあります。

気管支喘息COPD

 

そんな方は、気管支を広げてあげることで、空気を吸い込みやすくします。

→サルブタモール、フェノテロール、インダカテロール

 

M3受容体を刺激して、気管支を細くすることを目的とした薬剤はありません。

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*これは写真です。色鉛筆で書いた訳ではありません。

 

アドレナリンによって散瞳は起こりますが、これはより多くの情報を取り込んで脳で処理するためだと僕は考えています。

 

普段は眩しいと縮瞳し、暗いところでは散瞳して、眼に入ってくる光の量を調節しています。

 

余談ですが、暗いところでは散瞳をする=瞳が大きくなるので、夜景を見ているときは普段よりも綺麗に見えます。好きな人とのデートは昼よりも夜の方が良いです。

 

薬剤(眼)

 

α1刺激…瞳を大きくすれば、眼科での診察の際によく見えるようになります。

→眼底検査

→フェニレフリン

 

M3刺激散瞳は房水の排出を阻害します。簡単に言うと洗面台の排水溝に砂がたまった状態です。詰まっているのに手を洗い続けると、いつか溢れてしまいます。

洗面台からは水が溢れますが、眼で同じことが起きると簡単に言えばパンパンになってしまいます。これは眼圧が上昇している状態です。眼圧が上昇すると視神経が傷つき、目が見えなくなってしまいます。

緑内障

 

そんな方は、縮瞳をさせて眼圧を下げます。

→アトロピン

 

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

この記事読み終わった皆さんは、4つの臓器受容体のセットと、薬剤14種をぬるっと覚えることができているはずです。

 

拮抗的な作用を持ち合わせていると、少々複雑に絡み合うため、テストでの間違いも起こりやすくなります。

 

ただ、難しいので一発で覚えなくてオッケーです。

もし忘れてしまっても、定期的にこの記事で確認すればいいんです。(それか参考書で確認する。)

 

おまけ

僕の一番の目標は、皆さんが楽しく薬学を学ぶことができるコミュニティを作ることです。

 

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